【クルーズニュース】「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人」の目標達成に向けて、日本国内の国際クルーズ拠点整備が本格化

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現在、世界的なクルーズブームに乗り、日本でもクルーズ旅行利用者が過去最高となり、訪日クルーズ旅客の数も増大してきています。そのため、現在の日本では、国をあげて訪日クルーズ旅客を受け入れることができるように「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人」という目標を掲げて動いています。現在、海外から出航してきたクルーズ船を受け入れることができるよう、日本各地の主要な港で国際クルーズ拠点整備が本格化してきています。今回は、その詳しい事情をお伝えしてまいります。

クルーズ旅行市場の急激な成長に伴って、寄港を断る「お断り」も発生。「お断り」ゼロを目指して拠点整備を実施

現在、「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人」という目標を達成するための動きが急ピッチで進んでいます。国土交通省が掲げたこちらの目標を達成するためには、各国から寄港する巨大な大型客船が停泊できるような設備を整えた港が必要になります。

現在のクルーズ旅行の主流といえば、値段も安く、気軽に利用することのできる格安クルーズとして知られるカジュアルクラスクルーズですが、こちらのクラスのクルーズ船は昨今かなり巨大になってきています。日本を代表する豪華客船である「飛鳥Ⅱ」などは50,000トンクラスですが、最近の海外クルーズのカジュアルクラスクルーズでは10万トン超えのものがポピュラーであり、中には「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」が所有する「オアシス・オブ・ザ・シーズ」のように20万トン超えの超大型クルーズ船まで存在します。

このような大型客船が続々と寄港するような事態に対応しきれず、いくつかの人気港では海外クルーズ船の寄港を「お断り」しなければならないケースも発生してきました。着岸希望の日付や時刻の競合があった他、着岸のための岸壁が短かったり、接岸時の衝撃を和らげるための防舷材や船を係留する係船柱の強度が不足していたりしたため、安全性の問題で受け入れができないケースがあったのです。

このような事態を受けて、国土交通省は海外クルーズ船の寄港「お断り」ゼロを目指して、急ピッチで整備を進める決断をしています。この取り組みは2015年頃から開始されましたが、いよいよ各港で本格的な稼働が開始される見込みです。

国際的な拠点となる港は、横浜港のほか、清水港、佐世保港、八代港、本部港、平良港の6港が選定されている

現在、国土交通省は上記のような問題を早急に解決するため、頻繁に海外クルーズ船が停泊する港を「国際クルーズ拠点」として指定し、出入国審査や税関、検疫などを行うCIQ施設や、それらに付随する商業施設などを、民間活力を導入して整備することができる制度を定めています。2016年には港湾法も改定され、2017年に施行が開始されました。これによって、運航会社が施設整備を肩代わりすれば約1年半前までに港の岸壁を予約して優先的に使うことができ、施設設備を無利子で貸付することも可能となり、民間活力の導入が本格化してきているのです。

このような制度の導入により、「国際クルーズ拠点」として、横浜港、静岡県の清水港、長崎県の佐世保港、熊本県の八代港、沖縄県の本部港・平良港の6港がそれぞれ運航会社と提携して受け入れ拠点の形成を進めています。

横浜港は「飛鳥Ⅱ」などを所有する「郵船クルーズ」と「ダイヤモンド・プリンセス」などを所有する「カーニバル・コーポレーション&plc(カーニバル社)」の2社と提携、清水港は「スーパースター ヴァーゴ」などを所有する「ゲンティン香港」と提携、佐世保港は「カーニバル・コーポレーション&plc(カーニバル社)」と提携、八代港は「オアシス・オブ・ザ・シーズ」などを所有する「ロイヤル・カリビアン・インターナショナル」と提携、本部港は「ゲンティン香港」と提携、平良港は「カーニバル・コーポレーション&plc(カーニバル社)」と提携と、続々と運航会社との提携による整備が行われています。

続々と「国際クルーズ拠点」の整備が進む日本の港。今後も魅力溢れる海外クルーズ船の寄港が期待できる

「訪日クルーズ旅客を2020年に500万人」という目標を達成するために、国をあげての努力が行われている事実について詳しくお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。

今後も、日本における「国際クルーズ拠点」の整備は着々と進んでいくことは間違いなく、これまでは日本発着で利用することのできなかった魅力的な海外クルーズ船の数々を、気軽に利用することができる時代がすぐそこまで来ているといえます。日本のクルーズ旅行シーンのさらなる発展に、今後とも期待していきましょう。

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