クルーズ船には横揺れ対策の「フィン・スタビライザー」が装備されている。大型クルーズ船になるほど揺れは軽微になる
クルーズ船には、横揺れを緩和するために「フィン・スタビライザー」と呼ばれる横揺れ防止装置が設置されています。これは、船の揺れに対応して航行時の水流への角度を自動的に調整する魚のひれ(Fin)のような役割をする金属板のことで、揚力をもたせて揺れを最小限に抑える仕組みです。ある程度の波があったとしても、この「フィン・スタビライザー」の効果によって揺れは軽減され、小型船のように上下左右に大きく揺さぶられるような揺れになることはありません。
また、クルーズ船は船体の大きさによっても揺れが小さくなります。世界最大の大型豪華客船である「アリュール・オブ・ザ・シーズ」は22万トン級、5,000人以上が乗船できるという超大型のため、非常に揺れにくい船であるといわれています。いわば巨大なリゾートホテルがまるごと移動しているようなものであり、その重心を揺さぶるほどの波はよほどのことがない限り起こりません。
このように、揺れは船体の大きさに反比例するため、船酔いが心配な方は可能な限り大きな船でのクルーズ旅行を選択するようにしましょう。具体的には1万〜3万トン級の船を避け、5万〜10万トン級以上の船を選択するようにすると、安心できるかと思います。
クルーズ船の航行先によっても揺れが違う。船酔いが心配なら揺れの少ないクルーズ旅行コースを選ぼう
クルーズ旅行では、常に海の上を進んでいくために、海洋独自の波の影響を多分に受けます。そのため、船酔いが心配な方は船が揺れにくいエリアの旅行を選ぶようにするのが良いでしょう。
フライ&クルーズで向かう海外クルーズでは、カリブ海が波の影響が少ないことで有名です。暖かく、穏やかな気候のカリブ海での日々は、船酔いの心配をすっかり忘れてしまうほどの快適なものとなるかと思います。
その他、内海である地中海・バルト海クルーズなども船の揺れの影響を受けにくいとされています。地中海クルーズではイタリアやギリシャなどの風景を楽しむことができ、バルト海クルーズではスカンジナビア半島の国々やロシアといったヨーロッパの風情を満喫できる旅ですので、どちらも船酔いを忘れて異国情緒を楽しめるでしょう。ただし、地中海は秋から冬は荒れますので要注意です。
日本発着クルーズの国内クルーズでは、瀬戸内海がおすすめです。内海のために大きな波の影響が少なく、シーズンを通して穏やかなクルーズ旅行を満喫することができます。
逆に、船酔いの方ならば避けたほうが良いかもしれないエリアは太平洋・大西洋などの大きな海を航行するコースを取るクルーズ旅行です。具体的には、世界遺産で有名な小笠原クルーズなどは、太平洋の波の影響を大きく受けるために、多少の揺れは覚悟しておく必要があります。
また、海峡を通るクルーズも波が高い可能性があるので気をつけましょう。地中海と大西洋を結ぶジブラルタル海峡や、南極に位置するドレーク海峡などは揺れが激しいエリアとしても有名で、クルーズ旅行経験者でも上級者向けのコースといえます。
酔い止めは乗る前に飲む。キャビンは船の中央付近のエリアがおすすめ。具合が悪くなった場合は医務室へ
酔い止めはクルーズ船に乗る前に飲むのが鉄則です。よく、酔い始めてから薬を飲む方がいらっしゃいますが、それでは効果が追いつかないケースがありますので、必ず乗船前に服用することをおすすめします。
また、キャビン(客室)に関しても、船酔いが心配な場合は可能であればクルーズ船の中央付近かつ下層のエリアにすることがベストです。この位置は船体の中でも最も揺れにくいエリアとされています。ただし、クルーズ船の窓際の風景の良いお部屋ではなくなってしまうというデメリットがあるため、体調と相談してお部屋選びは行ってください。
もしも航行中に具合が悪くなった場合も、医務室がありますのでご安心ください。クルーズ船の乗務員は船酔いに関しての対応が最も優れているプロですから、アドバイスに従えば体調を整えることができます。
客船の大きさ・波の小さいエリア・キャビンの位置などを入念に選択すれば、船酔いも心配せずにクルーズ旅行が楽しめる
クルーズ旅行の船酔いに関する情報を一挙にまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。
客船の船体の大きさはできるだけ大きいものを選び、航行コースに関しては波の少ないエリアを選択し、念のためにキャビンの位置も船中央の下層を選ぶようにすれば、船酔いに弱い方でも十分に楽しめるクルーズ旅行を実現することは可能です。
また、船酔いに心配ないという方も、この記事を参考にして念のため酔い止めを乗船の前に飲んでおくなど、万全の体調でクルーズ旅行に臨みましょう。体調を整えて参加すれば、素晴らしい景観に満ちた一生忘れられないような豪華客船の船旅を体験できることは間違いありませんよ。